まっ★つんの避暇地

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【漫画】 視覚に攻める吹”争”楽漫画 『SOUL CATCHER(S)』神海英雄著

どうも。移転1発目です。

 

どうでもいいですが、移転作業して過去記事編集していて、体裁とか文章の書き方とか構成とかバラバラ過ぎて酷かったです。可読性の向上も目指して頑張りますのでどうかよろしくお願いします。

 

さて皆さんは音楽漫画を読みますか?

 

のだめカンタービレ』『BECK』『NANA』など数多くの有名な作品があり人気ジャンルの一つでもあります。

 

音楽漫画は、漫画の特性ゆえ「音」を表現することが難しいと言われています。擬音を直接書き込むのか、キャラの動きで表現するのか、あるいはあえて絵に動きを与えないのか…。作者の力の見せどころです。

 

そんな中で、革命的な表現方法をとった音楽漫画作品が現れました。

 

それが『SOUL CATCHER(S)』です。作者はジャンプ愛読者にはお馴染みの奇才、神海英雄先生。

SOUL CATCHER(S) 1 (ジャンプコミックス)

SOUL CATCHER(S) 1 (ジャンプコミックス)

 

 今回はこの作品の魅力を自分なりに語ってみたいと思います。

 

あらすじ

 

人の感情が「見える」体質の主人公神峰翔太はその能力を人のために使おうとするも上手くいかず、むしろその能力を憎み、他人を遠ざけていた。そんな中出会った天才サックス奏者、刻坂響が奏でる音に自分の心を掴むイメージを「見た」神峰は刻坂に興味を持つが、彼もまた闇を抱えていた。

 

しかし、神峰の協力により問題は解決し、自分の音を本当の意味で生かす神峰に刻坂は可能性を感じ、「吹奏楽部の指揮者になってくれ」と願う。

 

決心をした神峰の入部を認めるために顧問から出された課題は、各楽器のパートリーダーに指揮者として認められろ、というものだった。

 

革命的な表現方法とは

 

まずこの漫画のなによりの特徴と言えば、前述した音の表現です。神峰は人の感情がただの喜怒哀楽にとどまらず、ありありとした具体的なイメージのように「見る」ことができます。

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例えば絶望であれば暗く深い海を想起します。

 

そしてそれは感情にとどまらず、音にも具体的なイメージを「見」ます。

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音色を、猛獣であったり、手をかたどる炎に具現化します。

 

これこそが漫画で音楽を描く究極系。すなわち「絵」と「物語」で音を表現するのです。例えば猛獣であれば音をたべたり、大人しくなったり、走りだしたりなど一定の動作つまり「物語」が生まれます。

 

音色(擬音)を直接文字として書いたり、音符の絵を書くことは漫画でなくてもできます(小説や絵画)。独特の視点で描き出されるキャラクターの心象風景とそこから紡がれる物語。普段私たちが音楽を聞いてなんとなくする「感動」をより具体的なイメージをもって、漫画にしかできない方法で表現することに本作は成功しています。

 

清々しいほどのぶっ飛び具合

 

さらに本作を特徴づける要素がそのあまりにもぶっ飛んだ展開。

 

ジャンプと言えばバトル漫画。本作ももちろん例外ではありません。普通であれば吹奏楽でバトルを演出するのは難しいところですがこの作品は違います。

 

先ほど神峰はキャラクターの精神を何かに具現化して「見る」と述べました。それは猛獣や日本刀、あるいは戦士、チェーンソーなんてものもあります。それぞれがキャラクターの精神性や考えとリンクしています。

 

コンクールなどの場面ではこれらの具現化されたモノたちが指揮者神峰の指示に従い、ライバル校のキャラの音色が同じく具現化されたモノと戦う戦う。この辺はまじでなんの漫画かわからなくなります。

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(注:あくまでも演奏の一表現です)

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(注:あくまでも演奏の以下略。)

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(注:略。)

 

とまあこんなテンションで終始物語は進みます。キャラクターたちは滅茶苦茶真剣です。トンデモ表現もいいところなのは見てわかると思います。ゆえに「こんなん吹奏楽ちゃうわww」というような批判がナンセンスだというのもわかっていただけると思います。『テニスの王子様』に真顔で「これはテニスじゃない」とケチをつけるのがナンセンスであるのと同様に。

 

テニスがテニヌならこっちは吹奏楽ならぬ吹争楽と言ったところでしょうか。

 

ドストレートに、恥ずかしいくらいにアツい

 

そして『SOUL CATCHER(S)』を語るうえで何よりも欠かせないのが、目を覆いたくなるくらい恥ずかしい「アツさ」です。熱血。スポ魂よりも熱い。

 

序盤の攻略対象、トランペットパートリーダー音羽悟偉。彼はその演奏技術の高さから自分のパートの練習には出ず、他のパート練習に行っては高圧的に指摘をする練習荒らしとして恐れられていました。

 

しかしそれはトランペットパートのメンバーが音羽の才能に恐れ、心を重ねてセッションすることを放棄していることに対する失望からくる行動でした。

 

神峰はトランペットパートを再生させるために副リーダーであり部長でもある奏馬をこう鼓舞します。

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奏馬は音羽の技術に萎縮してしまい、諦めてしまっていた。しかし吹奏楽は演奏技術だけではなく心を合わせるもの。その人望と精神性を買われて部長になったのだから、技術は二番でも心まで遅れをとってはダメだとする神峰の心情が見事にこの臭いヒトコトに現れています。

 

「心まで二番手になるな!!」とか一生かかっても言える気がしません。

 

本作のストーリーの主軸はこのような各パートの悩みや問題を次々に解決し、指揮者として認められていくというものになっています。

 

そういう意味で、本作は音楽を題材とした青春漫画であるとも言えます。

 

視覚を刺激する音楽

 

総評です。確かに粗は目立ちます。先ほど述べたようにトンデモ展開満載で突っ込みどころはありまくりといえばありまくりです。

 

しかし、本来聴覚に訴える、音という概念を漫画というメディアでひたすらに視覚を刺激する形で伝えるというのは新しく、一見の価値ありです。

 

そしてなによりその臭すぎると言ってもいい熱血っぷりと勢い。それはさながら本物の音楽かのように直接我々の心に訴えかけ、感動を誘ってきます。

 

なにもかもが規格外な本作。最近はデスゲームであったりバトル漫画でも頭脳戦であったりと「考えて」読む漫画が多くなってきています。もちろんそんな漫画は大好きですが、たまにはこの作品のような「よくわからないけど面白い」漫画を読むのも良いのではないでしょうか。

 

たまらなく良い音楽が聴きたくなる一作。

 

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